涙を信じて
私が涙の不思議を最初に感じたのは、
おじいちゃんの死でした。しかしどうして涙が出たのか、その時はわかりませんでした。
それから約十年後、私が涙のワケを確信したのはおにいちゃんの死でした。
何度も何度もあふれ出てくる涙を流しながら私は『人間って言葉にならない涙が出てる時に自分自身の本能と触れ合っている。
対話しているんだ』ということに気がつきました。
それから十五年後、自分の作ったホームページを読み返していた時に私はあることを決心しました。
涙を流したことのある二人のお客さんとの関係をとことんつきつめてみようと。
その一人が柏原伸一さんです。
悪戦苦闘しながらはっさく大福のポスターを造っていたある夜、おにいちゃんが夢に出てきました。
そしてほほえみながら、私に話しかけてきたのです。
ひと言だけ「剛夫がんばれよ」と。
なぜだか夢の中で私も涙を流していました。
二〇〇二年 三月吉日
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